シン・ゴジラ

今頃やっと!ではあるのだけど、堪能した。去年の夏に映画館でちゃんとみて、twitter等でオンタイムの感想を共有したかった・・と切に思う映画だった。
アオイホノオ」という大阪芸大が舞台のドラマ(原作はコミック)は、庵野監督の同級生島本和彦氏が学生時代の庵野氏の才能にくらくら、メラメラするシーンが楽しかったけれど、あの庵野氏だもの、過去の作品へのリスペクトをこんな形で完成させて!さすが!という思いになった。(「エヴァンゲリオン」などのことを考えると、今更・・って感じもあるだろうけれど、もっと裾野を広げ、観客の年齢を上げ、多くの人の心をつかむ作品を作ったという意味で、ここまで!という感が・・)
庵野氏は岡本喜八監督の「沖縄決戦」*1という映画がすごくお好きだと読んだことがあるし、キーマンの写真で岡本監督を使っておられたが、「沖縄決戦」をみたときに感じた、上の、根拠の希薄な楽観的な見通し、判断が下のものを苦しめるということが、セリフとしても出てきて、そこも大いに感じるところがあった。(あおればいいってものでは決してなく。冷静な作戦会議がほしいということ)
ラストの伊福部昭の重厚な音楽が心に響くし、全体的に音楽の効果も絶大・・物語にのめり込み心拍数があがった。(最後にきりかわったのは「宇宙大戦争マーチ」ということも検索して知った。なにかウルトラマン的なものを感じたのだけど、「地球防衛軍」つながり?)
ショッキングなシーンのドライな処理もすばらしい。
エヴァンゲリオン」で、血液のような液体のシーンがとても気持ちがわるいのだけど、こちらにも同様の表現。
また、会議の時、「踊る大捜査線」の会議の音楽がかかると思ったら、元々「エヴァンゲリオン」の音楽でそれが「踊る〜」で使われ、「シンゴジラ」で逆輸入されたという話を読んで腑に落ちた。
しょっぱな出てくるゴジラの姿に愛嬌があるのにも驚き、それもあいまってほかの方も書いておられるが、ゴジラが叫び声をあげる時、とても複雑な気持ちにさせられる。ラストの方のゴジラの残骸に救いを求める手のようなフォルムもあったり。
ラストの東京駅丸の内の駅舎とのシーンがまたすごくキマっている。
あと心に残ったのが折り紙のシーン。ああいう発想の源泉になるものって大事と思うし、わかりやすく役に立つものの陰でそういうものが排除されたりしてはいないか・・鉄道の使い方もオタク心を感じてよかったなあ・・
初代ゴジラに込められた強いメッセージを今の世の中にきっちり受け継ぎ、さらにもっと今日的で具体的に訴えているし、それが娯楽映画としてきっちりまとまっているところがすばらしい。そして、役者陣の働きももちろん。

こちらの記事を読んで、好きだった岡本喜八監督の「日本の一番長い日」の方ももう一度みたくなった。