小間使の日記(ルノワール)

 

ブニュエル版(1964)*1と比べたくて先行のジャン・ルノワール版(1946)を鑑賞。

比べてそれぞれの作家の特徴が浮き彫りになり本当に楽しかった。

ルノワールのは全体にのんびりした空気。靴フェチの老紳士はブニュエル特有のものだったのだなと確認。

ポーレット・ゴダード演じる女主人公セレスティーヌの目のきらめきは時々ブニュエルジャンヌ・モローと共通するものを感じた。彼女と姿かたちは違えども「根っこは一緒である」と本人が主張する男(お屋敷の雇われ人)がブニュエル版はかなり野卑、ルノワール版は取り繕い方がうまく都会的。

結末、一緒になるお相手も全く違っていて、トータルの話としてはルノワール版の方が自然、ブニュエル版はにやっとした笑いを誘うようなものだった。

どちらも殺人事件がからむ。被害者は違えど容疑者は一緒。ルノワールは被害者のキャラクターからもあるのかある意味妙にのほほんとした処理、ブニュエルは加害者の人間性を暗示し皮肉めかすような描き方だった。楽しき見比べ。