「シルバラード」「裸の町」「ハメット」

ここにはまだ感想メモを書けていないけれど、部分部分は面白いが作品として自分を持っていかれるほどではない映画をいくつか観て、飢餓感を感じ、それではと、いきつけの名画ライブラリー ふや町映画タウンのオススメをいくつか観ることにした。「シルバラード」と「裸の町」、「ハメット」。

 

この中で一番好きだったのは「シルバラード」。

 

西部劇、なんとなく自分の生活とかけ離れているような気がしたりしてとっかかりに時間がかかってしまっていたが、ローレンス・カスダン監督作品は今までに観た「わが街」*1と「殺したいほどアイ・ラブ・ユー」*2がタッチは全く違えど観るものの心をつかむのがうまく定石通りではないストーリー展開で楽しませてくれたし、両方に出ているケヴィン・クラインがこちらにも出ていて観ることにした。

これは1985年に作られた西部劇だけど、私の目にはガンマン仲間の中に黒人が入っていること、酒場の女が若さを売りにしていないところ、女性が守られるばかりの存在でないところなど設定の新しさに写りとても気に入った。

そしてケヴィン・クライン、またまた違った顔。身ぐるみはがされたマイナスからのスタートもユニーク。元々同じグループにいた人間との相克もドラマチックで、ちょっとやくざ映画みたいな面白味も。(やくざ映画よりもっとスマートな表現。)

誰を敵とすべきかという設定も明快で観ているものが悩まないし、クライマックスシーンの意表をつく壮大さは絵的にも素晴らしく、とても楽しめた。

 

「裸の町」は、

 

報道口調みたいな進め方、刑事側からだけでないような描き方が新鮮。しょうもない嘘をつく登場人物がユニーク。監督のジュールス・ダッシンはヒッチコックの助監督をつとめたというが、ストーリー展開の面白さはその流れ?とも思った。

 

「ハメット」は

 

 

「マルタの鷹」の原作者ダシール・ハメットの物語。

ヴィム・ヴェンダース監督、コッポラ プロデュース作品。

どうもこの二人はこの製作をめぐって険悪だったらしいが、ふや町映画タウンの大森さんの評はヴェンダースの個性に振り回されすぎないでコッポラがいい仕事をした、というものだった。

自分でもハメットを「マルタの鷹」の、と紹介したものの、実は映画の方の「マルタの鷹」は自分の中でいかにものハードボイルドでちょっと苦手という印象を二十代に持ったきり更新されていない。しかし、この映画ではハメット原作の「影なき男」*3風の男女コンビで事件を解決するような色彩もあり、そこが気に入った。表現されているチャイナタウンのわけのわからない空気も印象に残る。