さらば愛しきアウトロー

 

ひねくれたような脇役ばかり注目しがちな自分なのにロバート・レッドフォードの訃報には心にさざ波が。あの笑顔、後進のためにサンダンス映画祭を開いたあの気持ち、そして話題にあまりのぼらないが、「ミラグロ」*1という乱開発への「NO」を寓話的で笑える風味で呈示する監督。。Xで彼への追悼コメントを読み漁った。

そして以前から観ようと思っていたレッドフォードの引退作のこちらを観た。

銃を撃たないがちらっと見せるだけで紳士的にたのしそうに銀行強盗を重ねるシニア役。ほとんど実話だという。いたずらっぽい微笑と紳士の物腰、ほんとにレッドフォードにぴったり。

年取った彼と心の交流をするシシー・スペイシクがまたいい味わい。地味な雰囲気がこの作品のレッドフォードにぴったりあって。ヒリヒリするような少女を演じておられた彼女もまろやかなシニアになられた。

追う側のトビー・ハルブルックスという70年代風の挫折感を漂わせつつも、子どもとの暮らしぶりなんかは現代風の刑事の味も頗るよかった。犯人のことを四六時中調べ考えているのに、FBIに仕事をとられる現場の刑事。彼のレッドフォードへの交錯する思いが描いてあるのも作品に深みが出て。

レッドフォードはいい作品を引退作に選ばれたな。