ズレてる、私!?

 

ズレてる、私! ? 平成最終通信

ズレてる、私! ? 平成最終通信

 

 毎年、年末に出る中野さんのサンデー毎日のコラム。このひとの小粋な趣味が大好きですすめてくださる映画、本、デザインなどは全幅の信頼を置いている。今回も楽しく読んだ・・が、練りまくっているのでない、ほんとに日常感覚のおしゃべりが中野さんのコラムではあるけれど、今回社会や政治のことに関しては、ちょっと首をかしげて読んだ瞬間もあった。

それは、サウジアラビアジャマル・カショギ氏殺害事件の話題で、イスラム教のはなしが書かれ、まるで見当のつかなかったイスラム圏だけど、80年代イランのキアロスタミ監督の映画をみて関心を持てた、しかし、カショギ氏の事件を契機に1991年の「悪魔の詩訳者殺人事件」を連想し、「言論や思想に対して、なんて乱暴なんだろう」、「イスラムこわい、わからない」と思ってしまう。でも、「偏見の人」になってはいけないと、「キアロスタミキアロスタミキアロスタミと三回、心に唱えて、平静を保つようにしている。」との文章。

私もキアロスタミ監督の映画でイランという国を近く感じられたことは確かなんだけど、キアロスタミ監督はイラン当局に冷たい扱いを受けておられるしなあ*1、とそこが気になった。イスラム圏ひとくくりにするのでなく、もう少し細やかな説明があるといいのになと。日本に置き換えて考えた場合、一部の偏った意見の人をもってして、日本は全部ダメみたいな意見をみたらやはり私もいい気分はしないし、中野さんのコラムというのはだいたいそういうざっくりした意味合いで書いてあるんだけど。

あと、オウム幹部の死刑について。被害者遺族へのインタビューをまとめた村上春樹氏の、普段は死刑には賛成ではないけれど、この件に関しての揺れる気持ちが書かれた毎日新聞の記事*2を引用され、最終的には中野さんの中では、「ギリギリOK」との言葉。私も死刑制度について考えがまとまっているわけではないけれど、OKとの意見はやはり書けないな・・春樹氏のように揺れているというのが一番よいのではないか・・特にあの時の一挙の処刑はなにかとても落ち着かない気持ちになるものがあった。なんら解決されていないのに蓋をしたような・・

そういうしち難しく考え込んでしまった部分以外は、楽しいの連続。上のように少し考え込んでしまうようなところも私にはちょうどよい感じかもしれない。なんというか当初は意見が違っていても話を交わしたらおもしろくなりそうな気配。

先日周防監督との対談で興味を持った玉川奈々福さん、中野さんの編集者だったらしく、楽しい発見。テレビで流れたのも編集者スピリットがとても生きているおもしろい舞台。周防監督の活動弁士の映画も楽しみだし、中野さんがみにいかれてほめておられた若き弁士坂本頼光氏にもとても興味を持った。

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 また、去年の本も装丁が素敵だと思っていたら、確か日本橋の榛原の千代紙のデザインで気に入っていたものを偶然装丁家の方が使われたようなことも書かれていた。(今、再読すれどその箇所が見つからず)榛原、まだ行ったことはないけれど、ますます行きたくなった。あちら方面では中野さんが町並が変わってしまったけれど、楽しい気分になる例外和菓子屋桃六が気になる。

tabelog.com

映画ではおじいさん映画「ラッキー」が気になった。

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結局なんやかやいっても中野さんいい!今年の年末もコラム買います。