舞踏会の手帖、我等の仲間

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品を二本鑑賞。

 

 

「舞踏会の手帖」はよく言及されているし、いつか観なければと思っていた作品。だいたいの筋は知っていたが、未亡人が昔自分に気のあったような人々を訪ねていってその人たちのその後を探るストーリー、しょっぱなの話からサスペンス風味だったりしてなかなか面白い。和田誠氏と三谷幸喜氏が、一つの映画について掘り下げて語っておられる書物「これはまた別の話」でも「主人公は悪女?」という話が出てくるが、私もそう思った。自分のこと好きでかなり思い詰めていた人のところをまわるとは何の確認がしたいんだ?みたいな・・・和田氏と三谷氏の感想を読んでなければ名作の主人公のことそう思っていいのかな?などと悩みそうではあるが・・「どん底*1の男爵以来、なるほど魅力あるわと思っているルイ・ジューヴェがまたまたいい味。かっこよすぎる位だけど。

そして有名な音楽「灰色のワルツ」。この映画の話をしていた亡き父母の時代を想い感傷的な気分にもなる。先述の本で和田誠さんが「最初に譜面を書いて、それを逆に後ろから演奏して、また逆回転させたそう」とおっしゃっているが、確かに逆回転的な風味。

youtu.be

 BlueRayの表紙はひょうきんな顔の男優さん(映画の中では美容師さん)が写っているが、彼はフェルナンデルという「この(登場人物の)中で戦後の日本人に一番親しまれた俳優」であると和田誠さんが解説。喜劇役者とのこと。三谷幸喜氏の「周富徳さんに似てますね」という返し、和田さんも同意されているが、私もそう思う。そして話された時代も感じる。

 

続けて観た「我等の仲間」。原題の「La Belle Equipe」は三谷幸喜氏のドラマ「王様のレストラン」のレストラン名として使われている。デュヴィヴィエという名のフランス人も出てくる。(デュヴィヴィエは結構荒っぽくこき使われている印象。)

こちらも音楽が素晴らしい。↓。ジャン・ギャバンの歌声、人を惹きつける力。

youtu.be

 

宝くじに当たって大騒動しているところはルネ・クレールの「ル・ミリオン」*2も思い出す。こっそり独り占めとは違う発想。はじめ仲間たちのいろいろな話が楽しくもわさわさ続くが、影となるような女の登場以来話が引き締まる。二種類の結末が作られているそうで、私が観たビクターのVHS版の結末は日本での劇場初公開版とは異った結末が収録されていたそう。

画像VHS版の表紙もとても良い味。中央で笑っているのがパリの街からつれもてやって来た”仲間”とは違う憲兵というのも面白い配置だ。

「我等の仲間」のwikipediaを読んでいると

笠原和夫は代表作『仁義なき戦い』はギャバン主演の『我等の仲間』を手本にして書いたと公言している

 とのこと。(出典は笠原和夫『映画はやくざなり』新潮社、2003年。ISBN 978-4104609017。64p)へえそうなのかという感じ。