NHKオンデマンドで「100分de名著」の坂口安吾”堕落論”の最終回、町田康氏が「白痴」について語る回を見た。町田氏の語り口の面白さも相まって、「白痴」とはなんと文学的で頓狂な作品なんだろうととても興味を持った。
縁あって新潟のミニシアター シネ・ウィンドの月刊誌を購読しているのだけど、安吾が新潟市出身ということもあり、よく安吾のことをとりあげておられる。そんな中でこの映画も私の頭に刷り込まれるようになった。
そして観た手塚眞監督の「白痴」。手塚眞監督はヴィジュアリストを名乗っておられることもあり、ヴィジュアル面は特に目をひいた。
戦前のような未来のような格差社会。廃墟のような場所に舞い降りる虚飾の美。
虚栄の世界で乾きあがきつつも仇花を咲かせるサロメ的アイドル。それを演じる17歳の橋本麗華の美しさ。それこそ眞氏の父治虫氏のDNAを感じるようなマンガのような楽しさなんだけど、最後の最後結論の場面はそれを画であらわすことの限界を感じてしまった。