苦役列車

なんともきっちりした古風な文体で綴られた、19歳、中卒の日雇い労働者貫多の日々ー「苦役列車」。心に浮かんだみっともない現実もどこまでも淡々と自分を客観視して書けているので、読んでいてどこか爽快。40代になって作家になってからの「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」も、原稿が売り物になっている状態なのだが、なかなかスムーズではない。町田康の本を読んでいるときに感じる時代物のような空気とアナーキズム、そして透明感も感じるが、町田康の文体で感じるミュージシャンのセッション的な部分、関西人らしいふわふわっとしたところがなく、西村氏の文章はひたすら列車のように一定のリズムで、タイトである。好きになった。ほかのも読もう。

苦役列車 (新潮文庫)

苦役列車 (新潮文庫)