港町

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想田監督の映画、「選挙」*1で出会い、「演劇1、2」*2を経て、「選挙2」*3、「牡蠣工場」*4と追いかけてきた。牛窓の港町で普通に暮らしている人々を撮ったこの作品は「選挙」のシリーズや「演劇」のシリーズのようなインパクトはなく、人員が足りないゆえグローバル化を余儀なくされている牡蠣の処理場を撮った「牡蠣工場」寄りの作品だ。(舞台も同じ牛窓だった。)けれど、「牡蠣工場」ではいきなりそこに配属された外国人のような気持ちになったのに、この映画は、この町に受け入れられているような感があり、ひきこむ力が強かったように思う。「牡蠣工場」での人間関係は労働力のやりとりメインのものだけど、「港町」では、いろんなひとがいるけれど、とにかくここで生活しているということは共通という人々の姿をごく平等に天からの眺めのように描いているからかな。この映画では、個性的なおばあさんとの出会いがあり、「ゆきゆきて神軍」とまではいわないが、その熱量が画面を引っ張っている。まるで寂しがり屋の保育園児のように一生懸命話しておられるがそれはこのおばあさんの頭の中の現実であって・・・と思うときもあり、最終的にはそんなことはどっちでもよくなるこの感じ、フェリーニの「8 1/2」ばりの大団円みたいにもみえる。個性的なおばあさんの強い語りの後ろで「ノーコメント」みたいな顔をしている(何しろ自分の家の噂話をカメラの前でされているものだから)別のおばあさんの表情を撮ったりしているのも面白い。

港町 [DVD]

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