次世代に向けて

「七人の侍」のコメント欄でご参考までに、と内田樹さんの「『七人の侍』の組織論」という文章を教えていただいた。

 

blog.tatsuru.com

 

分析興味深く拝見し、なるほどと思った。社会がピンチの時、平気で弱い方の切り捨てが起きたりするのを、高みから人道的にどうというより、自分に迫っている危機としてどうしていったらいいか、それには

七人の侍のうち、もっとも重要な、そして、現代においてもっとも理解されていないのが、林田平八(千秋実)と岡本勝四郎(木村功)の役割である。

 というところ、自分に迫るものがあった。平八的なるものを不要不急として切り捨てていく合理主義ばかりでは体は生きながらえても精神がもたない。コロナ禍の社会だけでなく、これからもただ生きながらえたいらよいのか、どう生きたいのかというのはいつも考える問題である。

そして、次世代を育てるということ、自分とは身近な映画の話でもあてはまる。

購読させていただいているブログ、「2ペンスの希望」で神戸山さんが渋谷の名画座シネマ・ヴェーラの館主さんの著書について書かれている記事があるのだが、

 

kobe-yama.hatenablog.com

 

ここで

「典型的な名画座のお客さん」だけを相手に映画館をやっていきたくないのだ。それでは袋小路だと思うから。未来がないと思うから。青臭いかもしれないが、少しずつでも、「典型的な名画座のお客さん」の外にいるお客さんを名画座に取り込まなければ、名画座に未来はないし、それは長い目で見れば映画館に未来がないのではないのか、と思っているわけだ。

 と引用されている考え方、私が利用している京都のVHS専門店ふや町映画タウンでも、今年どうされているのか確認していないが、学生フリーレンタル*1というのを苦しい経営の中で実行されていて、近視眼的にみると、お金に困っているのにそれは一体?となるのだけど、なるほどそういうことか・・と。

また、中学の倫理の授業できいたことだが、宝石店でまずほんものにたくさん触れることで目が肥え、偽物を見破れると。

映画の世界にいらっしゃる神戸山さんもお正月に、映画の世界に進む人へこのようなメッセージを書いておられる。*2

 

「古典・原点に戻れ」(先輩風を吹かす業界内の先達は遠ざけ、映画の初発・最盛期の熱量を知れ)

「遠くの隣りに学べ」(今元気の良い業界、切磋琢磨・淘汰選別が最も激しい業界の最前線、そのエキスを吸収せよ。すぐ傍にいる信頼できる他業界の友人・先達を注視せよ。間違っても映画業界のすさんだ空気を吸い込まないようご用心)

「無数の映画を浴びるように見ろ」(手当たり次第に先行する映画を見て見て見尽くせ。十代二十代前半までは作るな。わき目も振らずにひたすらに過去の映画資産の吸収消化に専念せよ。←京都ふや町映画タウンの大森店主のおススメ!)

 名作の面白さに若い人が近づくための努力、難しいのを痛感しているけれど、せめてレンタルして良かった作品はどんどん広報するくらいのことはしていきたいなと思っている。

*1:全くのフリーではなく登録料だとか多少はお金を出してもらうシステムのよう

*2:才能はお金のある世界に - 2ペンスの希望