旅芸人meets炭鉱の組合運動。山本薩男監督ならではの題材。
原作者真山美保。苗字から「元禄忠臣蔵」の作者真山青果を連想したが、青果の長女で、1943年に青果氏と離反し、前進座に入った旨wikipediaに記載されていた。
出演メンバーが豪華で楽しめる。一座の優しき座頭 東野英治郎、歌舞伎の台詞回しも貫禄あり。今までちょっと気の弱い登場人物の役でよくみかけ*1、なんだかいいなあと思っていた菅原謙二氏大活躍。
右のかっこいいのが菅原謙二氏。
東野英治郎の娘役津島恵子もちゃきちゃきととても魅力的。津島さん、なぜか勝手におとなしいイメージをもっていて内田吐夢監督の「たそがれ酒場」*2でのストリッパー役(といっても上品なものだったが)に驚いたのだけど「七人の侍」でも元気な役だったし、「おとなしい」というイメージが勝手なものだったかな?
楽屋番の女に東山千栄子。東山千栄子にロシア帰りで上品な、というイメージを持っているので、庶民的な役がナチュラルで別人かと思ったほど。
一座の女たらしに女を寝取られる伝助に江幡高志。三谷幸喜の大河ドラマ「新選組!」冒頭で、土方と一緒に薬を売っていた人だ。
ビデオジャケットに「無名時代の仲代達也、小沢昭一が端役で出演しているのも見どころ。」とあるが、
確かにお二人とも初々しい。
興行主に搾取され、炭鉱の組合の協力でなんとか生きる道をみつける一座だが、興行主から離れて一座をやっていけるかという座頭 東野英治郎の心配は、昭和の文楽の組合側の人たちがなめた辛酸の話を思い出すと落ち着いて観ていられない部分も。
労働劇を歌舞伎風だったり、知っている政治家の物まね風だったりで演じる一座の練習の様子は愉快。
常磐炭鉱労働組合が協力とのこと。「フラガール」と関係のある炭鉱だな。