今回は先生が表紙。「おまけ4コマ」で、恋愛脳の登場人物花野さんに「どこまで色気を削る気よ?」といわせているけれどそこまでして描きたかったんだろうな。確かに表紙に先生を配置してもいいほど先生のこともしっかり描かれている。千早ちゃんの進路相談の真摯でかわいいこと。勉強があんまりできない千早のことをまじめに考えている先生。気持ちがいい作品世界だ。
今回は、かるたを向こうにして常に落ち着いている新くんが、苦労しながら外の世界とかかわろうとしているところ、(そしてしどろもどろになっているところ)人が人に影響を与えて周りが変わっていくところが描かれていてまたいい感じ。もめごとを避ける彼の、言い返さないっていうことの消耗を対戦相手が読んでるあたりもすごい。
前の巻の最後あたりから大江さんの活躍もめざましい。机君の応援にいって、おためごかしじゃない言葉をかけるところもよかったし、「他人の靴を揃えることは『幸運』をひとつ拾うことだ」と教えられて育ち、幸運をいっぱい拾い集めて積もらせてきた彼女が迷う千早に対してかける
迷ったら自分の中に積もっていってほしいのはどっちか―――そうやって選んでもいいんじゃないですか?
というセリフ(p65-66)も印象深い。
- 作者: 末次由紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/13
- メディア: コミック
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