重版出来  16

 

重版出来!(16) (ビッグコミックス)

重版出来!(16) (ビッグコミックス)

 

 今回ページ数が割かれていた刀剣本を出す話、専門的で面白かった。松田奈緒子さん、「レタスバーガープリーズ.ok,ok!」*1でも甲冑の話とかとても詳しくて、得意分野だもんな。コミックの中で刀剣を持つ忍者というコンセプトがあたって刀剣本を出そうということになるのだけど、最初に案の出た手軽に手にとれる簡単にまとめたものというアイデアを覆し、むしろ専門的で細部も配慮した他にないものを作るお話。自分の周りの趣味人をみていても、簡単にまとめた本よりむしろぎっちりして信用に足りるものを欲していると思うから説得力があった。「美の暴走機関車」と称される美術出版関係の賞をたくさん受賞している文化局の田部井さんと、その調整役である制作の吉沢さん。チームプレーの葛藤と喜びが丁寧に描かれていて楽しい。

また冒頭の女性誌の作家に主人公の働く青年誌での仕事を提案する話も、作家が円満離婚後実家に暮らし始める設定で、老親あるあるの描写が丁寧でこれも好感を持った。

松田さんの作品、いつも一方的でなく細やかで広い視点があり、楽しみにしている。