61年 小津安二郎監督
21年ぶり*1の鑑賞。楽しめた。
大きな出来事は覚えていたがそこに至るまでのところはかなり忘れていた。
今回は構図の美しさにずっと注目。そのために原節子も司葉子も中腰でよく耐えているなあと。どの瞬間もキマっていて、お得意の鶏頭が庭先に咲き、登場人物のうちわの模様なども表情があり楽しめた。
子役が「お早よう」*2と一緒だなとかカラフルなタンスも「お早よう」に出てきたのに似てるなとか、紀子三部作で原節子が演じてきた「紀子」を原節子の義妹司葉子が演じていて原節子が「私なんて年だから」というたび罰金をもらう係になっていたり、小津作品っていうのは変奏曲のように主題が繰り返しでてくる。
ラスト近くに登場する笠智衆の、人間は順繰りに死んでは生まれてくるというセリフ、前回は突き放されたようなショックを少し受けながらきいたような気がするが今回はそのとおりだなと受け止める。昨年読んだ「生物はなぜ死ぬのか」*3という新書のことを思い出しながら。
21年前は「暗いところのある作品」なんて思っていたけれど、人間の生き死にをあたりまえの自然現象として描くユーモアも溢れた作品という認識になった。
※多分、小早川家は伏見の酒造業、向日町の競輪場、京都のお茶屋の路地、嵐山などが出てくる。道頓堀も。