青い山脈(1963)

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1949年版*1を少し前に観たので観比べ。前回杉葉子が演じていた女学生を今回は吉永小百合。前作杉葉子の挑むようなところがなく、健康的。そして、もめごとの原因もヒロインの不可抗力という設定にしてあるので、49年版の、「新しいものに対するもやもやした気持ち」が原動力となって暴走する守旧派が今回はただのいじわるみたいな単純な構造になっている。(そこには嫉妬の気持ちなども混ざっていると思えるが。)芸者 梅太郎と校医の関係も、49年版よりあっさりした感じで描かれているので、校医と進歩的な女教師がひかれあうのをシンプルにみられる道筋になっている。梅太郎を演じていたのが南田洋子で、木暮実千代みたいにねっとりしていないというのもあるかな・・南田さんなかなか良かった。

原節子が演じていた女教師は芦川いづみ。芦川さんのほうが威圧感がなくていい感じにみえた。そして二谷英明演じる校医もクセのない感じで好ましかった。

三島雅夫など前回と同じ役をしている人もいるが、メガネの友人は前回の若山セツ子のかわいらしさが際立つ。(今回出番も少なくなっていたと思う。)配役で前の方がよかったなと思ったのは彼女と、有名な手紙を読むシーンの藤原釜足かな・・今回手紙が読まれるその会議に出席している左卜全が場をさらった。

このバージョンはなんといっても高橋英樹演じる浜田光夫バンカラな友人ガンちゃんが魅力的。高橋さんのブログをみるとはじめての三枚目役でこの世界で食べて行こうと決心できた作品とのことだけどこの役は本当に良かった。さらに高橋さんのことが好きになった。

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浜田光夫の役も前回は池部良だったが、これも浜田光夫の軽いタッチのほうが好ましくみえた。

今回は少しアクション的要素も加えてある。映画会社が日活になったというのもあるのだろうか?

関西の自分には親しめる彦根でのロケ。

49年版も63年版もふや町映画タウンのおすすめ。49年版は☆☆ 63年版は☆となっている。

63年版はシンプルな娯楽作品の体だけど、49年版は先ほど書いた会議のシーンなども集まった保護者の意見などじっくり描かれていて、戦後生まれて間もない民主主義というものを描いていたように感じる。原節子の演じた島崎先生もそれを体現する神々しさをまとっていたのかもしれないな。