お早よう、細雪

小津監督の「お早よう」とwowow山本富士子特集でやっていた「細雪」をみる。gooによると、どちらも同じ1959年製作とのこと。(一年ずれて書いてある資料もあるのだけど、どっちにしろほぼ同じ頃につくられたと考えていいと思われる。)両方フラフープが出てくるのだけど、日本が高度成長をとげようとしている直前の雰囲気みたいなものがどちらの画面からもあふれていておもしろい。

「お早よう」はとってもおもしろいコメディーだった。小津監督のものでこんなにげらげら笑ったのははじめてだ。下町のご近所さんの機微、小競り合いがすごくおかしいし、こどもがかわいらしい。原作のほうの「サザエさん」みたいな味わいがある世界だった。黛敏郎の音楽もぴったりあっていて、ほんと最高!黛さんってこういう仕事しておられたんだ〜なんて、遅まきながら認識した。久我美子の品の良いかわいらしさ、着こなしも楽しめたし、佐田啓二のちょっと気取ったようなファッション、家の雰囲気もそんな感じが少し漂っている感じとかもおもしろかった。居間のこたつのモチーフ編みのカバーがなんだかかわいらしいモダンっていう感じ。本当にすてきな映画だった。

細雪」は市川崑監督のバージョンを昔見ているのだけどそれとはまた趣きが違っていた。三女の雪子をやっていたのが山本富士子だったけれど、とても可憐だった。。というか彼女のためにつくられた映画のような感じさえあった。四女の妙子は叶順子という方がされていたけれど、市川バージョンの古手川祐子とすごく似ている瞬間があった。(というか順番逆ですが・・)。最初ちょっと長女の人の悩みごと、みたいな話があったとき、同じ長女として共感を覚え、「自分が『細雪』の長女に感情移入するとは。。20年前に市川崑バージョンをみたときは、四女に肩いれしていたのに。。」と、すごい自分が重ねてきた年月を思ったりもしたのだけど、その後は長女の事情はさらっと描かれていた。ストーリー運びっていうより、山本冨士子が着ている着物がモダンなかわいらしさや妙子の部屋の今にも通用するようなすてきさ、京マチ子の行く喫茶店のよい風合いなど視覚的に楽しめる部分が大だった。

お早よう [VHS]

お早よう [VHS]