青い山脈(1949)

 

テーマ曲は有名なんだけど、観たのははじめてかな?1949年 今井正監督。古い田舎町の女子校の陰湿なやりとりに毅然とした態度をとる原節子演じる島崎先生は直球勝負で神々しすぎるけれど、彼女がヒーローとして扱われておしまい、という作品でなく、古臭さが支配する町でも理事会を開いてそれぞれがそれぞれの言葉で話してみれば意外とまじめに考えて判断する人もいるという、民主主義ってこういうことですよという部分、人に信頼を置いているような部分にちょっと感動する。このくだり、めでたさも中くらいなところに抑えてあるところもいい。原節子がバスケをしているシーンはなかなか魅力的。

メガネの女子高生若山セツ子がかわいらしすぎる。芸者の妹で実際的でほんとの意味で役に立つ感じ。「四つの恋の物語*1でも魅力的な姿をみていたし、彼女の出演作品を観るたび、結婚相手であったその後の谷口千吉のことに、自分はどうも引っ掛かり続けてしまう。(自分は外野も外野大外野のくせに、なんだけどあまりに魅力的で・・)。この映画の中で彼女の相手役になった伊豆肇、twitter などで名前はみかけるけれど、おおこの方かと。いかにもバンカラさん。でも、昭和後期の応援団的バンカラでなく、旧制高校のにおいのする知的なバンカラ。話の核になる杉葉子池部良の絵になるカップルの影に隠れるような二人なんだけど、二枚目カップルではないからこその応援したくなるような人間的魅力が二人にはある。

杉葉子、自分の中で東宝映画でヒロインの妹役をしているイメージだけど、この映画では原節子のまっすぐな女神的な存在に対比して、この女の子はなかなか大人だし、いろいろな経験をしてきたんだろうな(かといってズベ公ってわけではない)というようなところがうまく出ていた。そのにおいに敏感に反応しての田舎町の事件という展開でその感じが秀逸。

原節子に思いを寄せる沼田先生というのと、3つのカップルが物語の核にはなっているのだが、もう一つ藤原釜足と奥さんというのもまた一つの夫婦の形という感じで紹介され話に深みが出ている。藤原釜足のまじめさを武器にしたユーモラスなシーンもあり。彼が読み上げる手紙の誤字、有名だなあ。昭和一桁生まれの母からもきいていたような・・