小津リメイク

wowow小津安二郎の初期サイレント映画のリメイクドラマを放映している。

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「出来ごころ」「生れてはみたけれど」「非常線の女」「淑女と髭」と観てきたがとても面白い。現代に置き換えるとこうなるなというのやら、こんな話だっけ?見返したい・・と思うのやら。

オリジナルがすごく好きだった「生れてはみたけれど」、クライマックスの映写のシーンはしっかり覚えていたのだけど、冒頭車を押すシーンをリメイクでみてこんなのあったっけ?とオリジナルも鑑賞。ちゃんとそこからのスタートだった。オリジナルは引っ越しの車を押して、動き始めたらこどもだけ車に乗せておいて自分は上司に挨拶という手順だが、現代では業者の車にこどもをほっといたりしない。時代だ。上司への手土産を奥さんが工夫し蘊蓄を述べるところとかも現代的。クライマックスシーンも映写シーンではなく、バーベキューにしてあって、秀逸に父親の哀しさが出ていてほんと感心。小津安二郎のスピリットをきちんと活かしつつすんなりと馴染む現代のはなしにしてあった。弟役の突貫小僧も、少し前におじいさんになられてからの純情物語「忘れられぬ人々」*1を観ていたものだからそのお姿と重なってまたぐっとくる。リメイクをみてからオリジナルをみると、斎藤達雄って紳士っぽいのに面白い・・っていうイメージを今まで持っていたのに、柄本佑っぽいとらえどころのなさみたいなのもあるなあとちょっと見え方が変わってきたり、楽しい経験。

第一作目である「出来ごころ」もすごくいい。田中圭が坂本武の役だけど、現代ならこういう感じだなあと。名前だけきいていた城定監督の他の作品も観たくなる。こちらはオリジナルを途中まで再見しはじめているのだが、リメイクで渡辺真起子が演じていた食堂のおばちゃんの飯田蝶子がなんともいい感じ。早く続きをみたい。

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オリジナルでは田中絹代がミスキャストっぽくてあまり好きではなかった「非常線の女」も前田敦子が演じているのがなかなか良くて、これもオリジナル再見しようかなという気にまで

またオリジナルも大好きだった「淑女と髭」も成田凌のなりきりが清々しく愉快。現代への置き換えもうまい。続く回も楽しみだ。