座頭市とスターたち 松坂慶子 辰巳柳太郎

 

 1974年から1979年にかけて全100作が放映されたテレビ時代劇シリーズ「座頭市物語」、「新・座頭市」。ポニーキャニオンがその中から20作品を選んで出したのが「座頭市とスターたち」というビデオシリーズ。これはその一本。

松坂慶子出演で75年1月23日に放映された「めんない鴉の祭り唄」(森一生監督)と辰巳柳太郎出演で75年1月30日に放映された「赤城おろし」を収録。

先日アラカンさんの国定忠治もの「国訛道中笠」*1を観て、解説によると「お馴染みのドラマ」といわれているのに、自分には初見で事情のわからなかった板割の浅太郎と叔父の挿話というのが、「赤城おろし」のテーマだった。国定忠治座頭市が出会っていて・・というお話で、座頭市に見せ場が作ってあるのでオリジナルとは違っていると思うが、少し理解が深まった気分。

「めんない鴉~」の方は、西村晃氏が、座頭市がたどりつく地域の親分なんだが、こちらが素晴らしかった。相手をきっちり視る眼。修羅場も乗り越え今は落ち着いているがいざという時は・・という風情。

松坂慶子に好意を寄せている男に浜畑賢吉氏。浜畑さん、どういう経緯だったのかわからないが、中高時代に母校で講演をされたことがあり、親近感を持っている。自分の中ではその時や、ラジオかテレビのトーク番組中の印象の方が強い方なので、心の揺れる、根は善良な兄貴を好演されているのが嬉しかった。組の一番の下っ端みたいなのを下條アトム氏。座頭市に対して兄貴分きどりのふるまいの、文楽でいうところの詰人形のような滑稽パートを引き受けておられた。