欲望という名の電車

 

 

ウディ・アレンの「ブルージャスミン*1が大好きでこの映画に例えられていたので観てみた。「ブルー〜」を先に観ているからつい笑う気満々で冒頭ほんとに「欲望」という名の電車が出てきたり*2虚栄心の塊のヴィヴィアン・リー演じるブランチの鼻持ちならない人物紹介のあたりおかしくて笑いながらスタート。

ブランチを自分と全然違うタイプの人間と思っているうちは笑ってられるのだが、年を重ね零落していくことの哀れさ、元教師なんて、哀切だった「ミスター・グッドバーを探して」*3の元ネタでは?などと考えを巡らしていると、ロマンチックな夢で自分を誤魔化している彼女の姿が他人事ではないように思えてくる。「ブルージャスミン」はこの主題を上手に口当たりよく料理してあったなあ。

物語はどんどん笑っていられない方向に進むが、終始気をそらさせない演出。堪能した。

本邦でも来年沢尻エリカ主演で上演されるらしいし(話題性のありそうなキャスティング)、原作のwikipediaを読んでると原作者テネシー・ウィリアムズ女形上演は拒否していたらしいが、苦労の末篠井英介氏が演じていたようだ。彼は優美さもあって似合ってそう。

原作はブランチの元夫が同性愛者である設定らしいが、そこはカットされている。同じテネシー・ウィリアムズの作品「熱いトタン屋根の猫」*4で同性愛をにおわす表現がカットされたという話も思い出す。まさに、ドキュメンタリー「セルロイド・クローゼット」*5で取り上げられていた同性愛の扱いの話そのものだ。テネシー・ウィリアムズの作品には「ガラスの動物園*6といいとても繊細な人や家族の問題がよく出てくるように思うが、これまた彼のwikipedia*7で彼自身の生育史と強く関わっていることを知る。ますますブランチのこと笑えなくなってしまう。