フェイブルマンズ

 

スピルバーグの映画あまり観てこなかったけれど、やはりうまい。自身や父、母をモデルにしたこの作品、みせる技術と後進への贈り物のような内容に心が満たされる。ジョン・フォードが出てくるときいて観たのだけど、未来につなぐ映画のバトン、アメリカ映画らしい直球、こういうのもとってもいい。敬愛する母親の人間的なクセや優しき模範的技術者である父親の芸術へのごくナチュラルな体の無理解、卒業前の時期に転校し少しだけ在籍した学校での苦くも濃い体験などすべて映画と私という形で語られ、自分にも向けられていると強く感じた。緩急のつけかたもすごくうまく、すごいもんだなあとただただ感心と喜び。「リトル・ミス・サンシャイン*1や「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド*2で屈折感のあるピュアネスという感じの役回りを好演されてきたポール・ダノが父親役。優しき仕事人間で社会人としては評価されているのは間違いないのだけれど、それ故はみ出しものにとってはつらい判断を下すようにみえるあの違和感をうまく表現。