アヌーク・エーメが大好きな方に「男と女」*1と一緒に勧められたのがこの映画。モディリアーニの伝記。ジェラール・フィリップがモディリアーニを演じているが、wikipediaに出ているモディリアーニの写真をみると、感じが似ている。
ジェラール・フィリップ、私はついこのあいだ「夜ごとの美女」*2や「悪魔の美しさ」*3で出会ったのだけど、ただの美男でなく、なんとも愛嬌があり、彼の演じるモディリアーニ、酒乱でDVととんでもない一面も持ちながらそれを補う魅力があること、その弱い面をも交際相手が愛してしまうようなところを自然に表現していた。wikipediaによると、日本でもすごい人気だったが、36歳で夭折という。この映画での姿をみて、長生きされたら中年~老年どんなに魅力的に演じられただろうととても惜しくなった。
アヌーク・エーメはきちんとした家庭に育った意志の強いお嬢さんで、モディリアーニの内縁の妻ジャンヌをとてもかっちりと美しく演じておられていた。コートの着こなしなどもとてもきっちりして美しく。感受性が強い個性を持つからこそ不安定な状態の家族の傍にいて、腫れ物にさわるかのような、無事であってほしいと日々祈るような気持ち、痛いほど伝わる。ジャンヌのwikipediaを読むと、この映画から伝わる姿とほぼ重なる感じがした。wikipediaにあるジャンヌを描いた絵、美しい。
映画の中では、モディリアーニが妻と出会う前に交際していたジャンヌとは対照的な女性についても描いている。彼女との対比によってジャンヌの個性が際立つようになっているが、元カノのは元カノの愛し方というか、経験豊かな女性ならではの度量というか、なんともいえない真実を描いているようにも思えた。