「サムライ」と「ピアニスト」

フランス映画を二本。

「サムライ」(1967 ジャン・ピエール・メルヴィル監督)と「ピアニスト」(2001 ミヒャエル・ハネケ監督)

 

  • 「サムライ」

ふや町映画タウンのおすすめでもあり、いつか観るつもりだったのだけど、先日youtubeでよく楽しんでいる「暗黒名画座」で取り上げられていていよいよ観てみた。観てからもう一回話を聴いたら自分が思ったこと語り尽くしておられる気もしたが、台詞がミニマムなところ、映像によってわからせるところ映画として優れているように思う。ミニマリズムというと、色調も整えてあるのもストイックだし美しい。シルエット的にも役回り上もアラン・ドロンが目立つが、実はいやな攻め方をする刑事、こいつがなかなかわかっていて話を引き締めている。アラン・ドロンが小鳥を飼っている描写がアクセントになっていると思うが、これ「レオン」の観葉植物などに受け継がれているのではないだろうか・・「レオン」は「サムライ」の影響受けていると感じた。

 

 

  • 「ピアニスト」

ハネケ監督は「ファニーゲーム*1がなんとも後味が悪く次のチャレンジをするのに時間がかかった。「ファニーゲーム」のことを思えば底意地は悪いがこっちの気を引く調子で話が進むもののそれでどうなるのとちょっとわくわくするような気持ちで話を観ることができたのだが・・いよいよイザベル・ユペール演じるピアニストが毒親のもとで育んできた内なる想いを実現させる状況になってからの、交際相手への望みが相手の気持ちなんかお構いなしのひどくマゾヒスティックなものゆえの悲劇、彼女が妄想ばかり肥大させ現実には滑稽にみえるためにまだ直視し消費する余裕があるものの、愛情のやりとりってつきあう相手が多かれ少なかれ持っている狂気みたいな部分にどれだけつきあえるかという部分を持っているということを痛感させられ、またしても圧倒された。やはりハネケ監督心して接しないとなという気持ちに。

鍵盤をひくさまざまな手の表現や場面場面のクラシック曲の雄弁なこと。