機械じかけのピアノのための未完成の戯曲

 

 

機械じかけのピアノのための未完成の戯曲 [DVD]

機械じかけのピアノのための未完成の戯曲 [DVD]

  • 発売日: 2003/08/25
  • メディア: DVD
 

 みたのはVHS版。

すごく良かった!映画からパワーをもらい、元気になった・・といっても、別に調子のよい物語ではなく、時代が変わろうとしているときの没落貴族や地主のパーティの話で、金持ちの商人との関わり合いなど「櫻の園」にでてきたような要素があるなあと思っていたら、原作はチェーホフ。なるほど。

ニキータ・ミハルコフ監督、「何の話が始まるのかな?」というようなふんわりというか、ぼんやりした感じで登場人物をなぞるところからスタートするものが多い*1が、今までみてきて、それが持ち味とわかっていたので、今回もしょっぱなたくさんの登場人物が出てきてよくわからない会話が始まっていても焦ることなく見守ることができた。毎回なのだけど、中盤から話がみえてくると、その奥ゆかしい語り口の嬉しい事。説明的でなくてその世界に掘りこまれる感じが心地よい。三谷幸喜氏が「櫻の園」をされた時、チェーホフの喜劇性について強調されていたと思うけれど、私もこの作品で、チェーホフってシリアスまじえながらも肝心のところで皮肉にもみえるようなじんわりとしたユーモアがあって、でも冷笑的なまとめ方ではなく、しょうがないなあと微笑しながら前に進むみたいな味わいがありとても良いなあと思った。

最後までみてからもう一度しょっぱなのたくさんの人物が出てくるところをみると、はじめさらっと流していたシーンにひとつひとつその人物をあらわす描写があり、楽しい。映画ってこれくらいの感じが良いと思う。なにもかも最初からわかるようなくどい説明なしで。

リストのハンガリー狂詩曲がまたとってもいい。