ボイジャー

 

ボイジャー~運命の航海者~ [VHS]

ボイジャー~運命の航海者~ [VHS]

  • 発売日: 1992/06/21
  • メディア: VHS
 

 twitterで、「とても良かったのにデジタル化されていない作品」として教えていただき観てみた。

ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ監督作品。もうなんといってもサム・シェパードの気品と演技力が物語を支えている。しょっぱな「永い言い訳*1本木雅弘みたいに感情をコントロールして生活していてそこからの、情動。ここがきっちり表現されている。また彼と過去に関係のあったハンナ役のバルバラ・スコバという女優さん、こちらも若い時と中年になってからを演じているのだけど、中年になってからの風格が素晴らしい。こちらの年齢もいっているせいか、サム・シェパードと彼女が並んでいるときのたたずまいが大変好ましく思われる。そして調べたら、彼女は未見だけど気になっている映画「ハンナ・アーレント」も主演されているよう。意思のしっかりした役が似合っている。

開口は「知りすぎていた男」*2のような、面倒なことに巻き込まれるサスペンス?のような始まり方なのだけど、本質はサム・シェパード演じる男の魂の旅。偶然という必然。映像は映像で手持ちビデオの撮影のまじえ方などが情感を表していてとても良かったが、白水社から出ているというマックス・フリッシュの「アテネに死す」という原作を読めばさらに深くこの作品世界に関われそうな気がする。

 

アテネに死す

アテネに死す