知りすぎていた男

クライマックスシーンでのドリス・ディの「ケ・セラ・セラ」の歌、なんとも沁みる。
ジェームズ・スチュアート、私がはじめてみたのは「めまい」とか「裏窓」とかやはりヒッチコックの映画だったと思うのだけど、その時は失礼ながら、こちらの若さ故か、おじさんが振り回されているという印象でしかなかったのだけど、そのあと、「桃色の店」*1だとか「素晴らしき哉人生」だとかをみた現在、「あのピュアな感じの人が、そのあとこんなことに巻き込まれて苦労している」という感じもし、またそれが、「お坊ちゃん育ちっぽくて無防備だからこそ巻き込まれている」っていう風に見えたり、「せっかくの長身が長すぎて持て余すような感じになっている」演出をされているということなどに、ヒッチコックの性質があらわれているように思ったりしている。
ヒッチコックは描いている事件の結論とかより、ハラハラするのをみせるその見せかたに力点を置いているようにきいたことがあるが、この映画でもそういう感じがする。効率一本槍ならもっと他の方法があるだろうに、というところがあるのだが、そんなのヒッチコックの描きたいものじゃないんだろうな。とにかく、最初の方とか「妙なことに巻き込まれている」っていう雰囲気の出し方などとてもうまいし惹きつけられる。
ラストもとってもよかったな。にんまりさらっと終わるあの感じ。

知りすぎていた男 [DVD]

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  • 発売日: 2012/09/26
  • メディア: DVD