台風騒動記 - 日常整理日誌

台風の補助金をうまくせしめて、という海沿いの小さな町の支配者の滑稽な暗躍とその顛末をコメディタッチで描いたもの。

山本薩夫監督、社会派のイメージだけど「にっぽん泥棒物語」*1でもこちらでも正義を大上段に描いて、悪とは正面から戦っていくのが当たり前ってノリでなく、正義はいいけど生活も大事だしという弱虫（この映画では菅原謙二氏が好演）の側にたってそれを洒脱なユーモアで描いていくのが素晴らしい。

佐田啓二が「なんとかフィリップというフランスの俳優に似てる」といわれるセリフがあるのだけどジェラール・フィリップのことだろうな。最近クラシック映画をちょっとかじった成果が出た。

三島雅夫がお座敷芸を披露するところさまになってる。「雁の寺」*2なんかだけみてただのエロおやじなんて思ってたらあかんな。あれだって演技うまいからこそそう見えるのであって（笑）。

野添ひとみさん、家城監督の「姉妹」*3に続き清楚で凛とした役どころ。「姉妹」大好きなのでここにも分身が、という感じで嬉しい。

とにかく役者揃いで加藤嘉の校長が号令をかけるときに声がひっくり返るお家芸や、議長の左卜全が叫ぶ「やめてー」の言葉に後の「老人と子供のポルカ」への萌芽を感じ取っての喜びなど楽しみ一杯の作品。