イノセント・ライフ


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ふや町映画タウンの、所蔵タイトル一覧から、どんな映画なのかな、と借りたが、すごい拾いものだった。ジャケットよりずっと深くてかっこ良くて気品のある、だけどとても見やすい少年もの。楽しめる上にパワーに元気づけられる。スウェーデンアカデミー最優秀作品賞受賞作。
兄にパワーで押され続けている弟。夢は自分の自転車を手にすること。だが、父は社会主義者、母はユダヤ人という家庭環境は金銭的に恵まれることなく、父親も厳しいから、自分でやりくりして小銭稼ぎをして夢への貯金をしなければならない。男の子の可愛らしさもあいまって応援したくなるような状況なのに、少年の学校では社会主義者への視線は厳しく、少年もあおりを食う。挙げ句に。。というストーリー。父親の厳しさも、自分の経験から力なくしては生きていかれないということが身にしみている所以であって、それは父親らしい愛情とわかるし、また威厳を保とうとしつつも拷問などから体を壊していてどうしても子どもを頼らなきゃいけないつらさなどがじわつとしたユーモアに包まれて描かれていてとてもみていて心地良い。基本に愛情の感じられるストーリーというのは良いな。しかもベタベタしてなく、その上、少年が生き抜いていく物語で。
少年がおぼえている社会との違和感を描いているという意味では北欧版「大人はわかってくれない」*1の気配もあるけれど、そこに社会的なテーマも盛り込まれ骨太に仕上がっている。
私の中ではアニエスカ・ホランドの「ヨーロッパ・ヨーロッパ 僕を愛した二つの国」*2ともイメージが重なる秀作!

イノセント・ライフ【字幕版】 [VHS]

イノセント・ライフ【字幕版】 [VHS]

  • 発売日: 1997/02/21
  • メディア: VHS