愛する

 

愛する [VHS]

愛する [VHS]

 

遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」の熊井啓監督バージョン。浦山桐郎の方は若い頃にみたが、暗澹とした気持ちになってしまった。熊井監督のを今回みて、ミツという女性の聖性が原作でも大事なポイントであったことを思い出した。男の罪悪感とかのレベルのはなしでなく、神々しさにふれ、ひれふすもののは話。ブニュエルの「ナサリン」のことも思い出した。救世主には枕するところがない、この世で軽んじられたりしているものの中に救い主はいるというような思想。(ブニュエルは救い主のことを軽んじるのが教会であったりもするとまでいってるような気がする。)

沖縄やハンセン病を絡ませて熊井監督らしい社会的な視点を感じられる作品に仕上がっていると感じたのだけど、今調べたら熊井監督ゆえこうなったのでなく、原作もハンセン病の療養所が出てきていたらしい。若い頃は、原作も映画も、あるかわいそうな女の物語、それへの男の痛恨みたいにとらえていた。浦山版はあらすじを読むと私の印象通りの男女の愛情を軸にした筋立てだったが、いまみると印象かわるだろうか?もう一度原作や浦山版にあたってくらべてみたくなった。

施設の看護婦長を演じている女優さんに惹きつけられたが、三條美紀さん。紀比呂子さんのお母さんだった。(そういえばお顔が似ていた。)