映画「愛と哀しみのボレロ」の中でカラヤンがモデルの登場人物がアメリカのコンサートでボイコットを受けるシーン(戦中のカラヤンへの抗議で席を買い占めて一人の批評家以外観客のないコンサートが発生という場面)が出てきて仰天、そんな事実があったのか知りたくて以前友人にコメント欄で薦めてもらっていた*1この本を読んだ。結論、そういうことあったらしい。(席買い占めによるガラガラのコンサートとの表現、他にも鳩を飛ばしたりなどもあったとか)。この本を読んでまたクラシックファンの知人からも話をきいて、自分が物心ついた時点では帝王のようにいわれていたカラヤンだけど、実力ゼロとはいわないが、処世術に長け運の力も大きかったのだなあ、フルトヴェングラーと随分評価が違うのだなあと思った。
フルトヴェングラーの映画を観て、ナチに賛成していたわけではないのにナチ政権下、親ナチ的な扱いを受けたという話ばかり印象に残っていたもので、アメリカでの公演はボイコットされたものの、ヨーロッパや南米では戦後「非ナチ化」認定されてからは晩年ギリギリまで現役で、驚くほどの数のコンサートをこなしておられる姿に驚きを感じた。
著者自身まえがきにも書いておられるように、そんなにクラシックに詳しくなくてもカラヤンとフルトヴェングラーの政治闘争や指揮者とオーケストラの相性を読み物としてたのしめる本だった。