「夫婦善哉」は昔小説で読んで大好きになった話だ。小説を読んでいるときは、柳吉のイメージはもっとやさおとこで、太宰治的風貌を勝手にイメージしていて、はじめ森繁の登場にちょっともったりしたものを感じたのだけど、船場のぼんの柳吉さんは実はきっとこういう人に違いない、とすぐになじんだ。淡島千景は元気がよすぎる役をよくみるのだけど、これはもう最高。元気だけどけなげな蝶子の雰囲気にぴったり。ほんとにもう苦労をかけられ通しの蝶子はんだけど、全体を包むトーンが決して暗くならなくて原作に決して負けていないいい作品になっていた。
「猫と庄造と二人のをんな」は、谷崎潤一郎原作だなぁと思うような濃厚な表現がいっぱい。スタートの題字からしてアバンギャルドでおもしろい雰囲気になっていたけれど、香川京子さんのあんな奔放な姿わたしははじめてみた。(いつも清純っぽいのばかりで)とても新鮮でかわいい。山田五十鈴の猫なで声もほかであまりみない感じでおもしろかった。ストーリーも、作戦合戦みたいでなかなか楽しくすすむし、軽快なんだけど、どんどんターボがかかっていよいよラストにつきすすむ感じは、スリリングでとてもよかった。
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