暴力教室

 

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この映画、NHK「世界サブカルチャー史」アメリカの50年代の項で紹介されていて観てみた。

原題は「アスファルト・ジャングル」をもじった「ブラックボード・ジャングル」。荒れた学校の話で、悪いお手本になるのを恐れてか、アメリカのユタなどいくつかの州では上映禁止になり、日本でも上映反対運動が起きたとのことだが、まっすぐに問題を見据え取り組んでいる至極きちんとした作品である。

主人公と荒れた教室との格闘。といっても、力で押さえつけるのでなく(時によっては体力も使わねばならないが)工夫がある。

相互理解のつもりで自分の名盤コレクションを味わってもらおうとしたのに結局自分の趣味の押し付けのようになり悲惨なことになる同僚のつらい場面。自分にとっても他山の石もいいところだ。その苦い経験を踏まえ生徒が自分で答えを引き出す方法を考えつくところなどとても良いつくり。

職員室での内輪だから話そうって場面でも、流されたりせず自分の思うところを真っ直ぐに堂々と伝える主人公は清々しい。あきらめに支配された職場なのに、かといって彼のことが冷笑的に扱われたりするわけではないこの映画の作品世界が好きだ。

何より編集、テンポが良く、流れる精神は真摯でも悪役のスパイスもリアルで娯楽的でもあり観ているものの気持ちを外さず観るたのしみを与えながら進むところがいい。山本薩夫的世界?

まじめイメージのシドニー・ポワチエが複雑な気持ちを学校に抱いている頭のいい生徒を演じており、ただの善玉とかでなくなかなかいい。出世作とのこと。クラス一番の白人のワルは後に「コンバット」で活躍するビック・モロー。これがデビュー作だそう。あとのちのポール・マザースキー監督も同じクラスのエマニュエルという役だったそう。

ビル・ヘイリーとコメッツのとても有名な曲「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が冒頭とラストにかかるが、ラストの画面とのタイミングがすごくきまっていて、良いもの観た〜という気持ちに。この曲は映画より前からあったのだが、映画をきっかけに流行ったのだそう。

監督はリチャード・ブルックス。「ミスター・グッドバーを探して」*1も良かったな。

 

この作品、ドルーピーのアニメ「いたずら教室」でももじられているという。みてみたら、なるほど・・と楽しめた。