イルマ・ヴェップ

 

twitterでの評判を読み借りてきたが、ジャケット写真で活劇もの?と勘違い、少し観るのに時間がかかってしまったが観て良かった。この作品は「イルマ・ヴェップ」という無声映画のリメイクを作ろうとしている現場自体が描かれる対象で、起きるトラブルの描き方に過渡に笑いを狙うようなしつこさがなく、ごくさらっとしたフランス流。主役として招かれたマギー・チャンの、私が今まで観たことのない普段着寄りの表情がたくさん撮られており、またヨーロッパにマギー・チャンを置くと突如彼女が東洋人としての身近な存在としてもみえてきたりしてとても面白かった。

監督を演じているのはジャン・ピエール・レオ。彼がすっと作品に出てきたトリュフォーのバックステージもの「アメリカの夜」との繋がりも感じる。

撮影現場がバラバラになっている渦中「日本人クルーがCFを撮っているところをみたが整然としていて軍隊みたいだった」という台詞が出てくる。是枝監督がフランスで「真実」*1の撮影をしている時の苦闘ドキュメンタリーを観たことがあるが、つまりここでいわれている違いからの苦労だったりするんだろうな。

もうこの撮影は仕切り直しか、というところからのラスト、作られたフィルムが流れるがこれもなかなか面白く拾いものの映画だった。