終身犯、大列車作戦

 

終身犯 [DVD]

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大列車作戦 [DVD]

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ブラック・サンデー*1を楽しめたことをtweetしたらすすめてもらったフランケンハイマー監督初期の二作品。二作品ともバート・ランカスターが主役の骨太映画。バート・ランカスター、「山猫」の公爵の認識だったものでこの二作品ではそれとは様子が全く違う現役で戦いまくっている男という風情で、出演の年代が離れているのかと思ったが、年代はほぼ一緒。二作品の間に「山猫」が撮られている。*2さらに調べたら「フィールド・オブ・ドリームス*3の物語のキーになるお年寄りも彼だったそう。ちゃんと出演作を追ってきている人は飛び飛びで映画に出会う自分とは全く違った気持ちでそれぞれの映画を観ているのだろうな・・気骨、信念のある男という共通点はあるし、wikipediaで彼の生涯を読んでもそんな感じだ。

両作品ともとても楽しめたが、ナチスからフランスの絵画を守ろうと奮闘する鉄道員たちの戦いを描いた「大列車作戦」の方が見終えた時のインパクトが強かった。敵役のナチスの大佐の執念がただことじゃなく、ラストで言い放つ台詞もとことん芸術への倒錯愛に満ちているし、皮肉交じりの画面の締め方などがつんと来た。

wikipediaによると

ナチス・ドイツによるフランス占領当時のジュ・ド・ポーム国立美術館の館長ローズ・ヴァランのノンフィクション「美術戦線」(僅か3ページの記述)を原作

3pの記述からあそこまでの映画にする素晴らしい手腕。すごく味のある、いかにもフランスの意地を感じさせる機関士にミシェル・シモン。名前は聞き覚えあり・・調べたら「悪魔の美しさ」*4や「霧の波止場」*5で拝見しているよう・・もっとちゃんとわかりたい!

「終身犯」、こちらも実話のベストセラー小説を映画化したものという。バート・ランカスター演じる終身犯が、中庭に迷い込んだ小鳥を育てはじめ、獄中で鳥の病気の対処を研究、その道の権威に。。そのあと獄中結婚をし、小鳥の販売会社も共同経営するが。。というストーリー。獄中で起こしてしまう傷害事件に母親への想いというのがバックにあったり、母親との絆ー結婚による気持ちの行き違いなどが描かれていて、私はこの影がとても気になった。主人公ロバート・フランクリン・ストラウドについてのwikipediaの記述を読んでいると、基本的な事実は大きく枉げることなく、観ているものがいやな気分にならないように作られているなあと思った。映画をみていて、ここまでの待遇・・と驚くことも多かったが、それも概ねその通りだったようだ。そして、それへの不満の声が現実にはあったというのはうなずける。ここまでするか・・という疑問への橋渡し役を映画でしてくれるのが主人公をずっと見続ける看守の存在である。彼が、主人公の横柄さにブチ切れるシーンなかなか良かった。彼というバランスがあってこれが良い映画になっていると思う。

映画のセリフの中であったように、獄中での労働など囚人の性向に関係なく懲罰的な対応をするのでなく、本当の意味で更生できるシステムというのは必要だろうと思う。同じことは老人の施設でも感じている。食べて命を長らえさせればいいでしょうというようにそこで働く人たちが割り切ってしまうようなニヒリズムが一番よろしくないと思う。現実には労働量が多く追っつかないという部分もあるだろうけれど、なんの仕事でもより良くしていこうという気持ちが起きなくなってしまうのは誰にとっても良いものではないなあと思う。

そして自分がなにかの役に立っているという思いはとても大事ではないかな。。

話がそれるが、個性を伸ばす刑務所については宮藤官九郎氏がドラマ「監獄のお姫さま」で舞台に選び、その中にもあるいやな部分も笑いの中でちらっとうまく描いていた。今放映中のドラマ「俺の家の話」も、介護の問題を一見突拍子もない勢いで展開させながら良いところを突いていて高齢者と生き続けている自分には嬉しく響いている。「俺の家の話」、能という特殊な訓練のいる分野の話を部外者たちが演じるおそろしさを覚えたりもしたが、物事の基本をとらえ表現する宮藤氏の才能は凄いものだ。

監獄のお姫さま DVD-BOX

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