三匹の侍

あの頃映画 「三匹の侍」 [DVD]

 パッケージの解説によると五社英雄監督の映画監督デビュー作とのこと。五社監督、女の諍いを派手に描くイメージだったのだが、モノクロの娯楽時代劇ハードボイルド、大層良かった。後年よく見かける女同士の取っ組み合いのシーンもあり。

長門勇さん、なんとなく刑事ものに出ておられるイメージを持っていたが、調べたら時代劇もたくさん出ておられる。この映画ではかっこいい槍の遣い手役！三枚目風にみえて・・という、千秋実さんのようなポジション。でも、よく千秋さんがされる役の方がドライかな・・この映画での長門さんは丹波哲郎、平幹二朗の二枚目な剣の遣い手とは一味違う人間らしい悩みを持つところがまた魅力の剣豪。丹波さんもよくお見掛けするような一風変わった一癖ある、という佇まいでなく、正統派のかっこいい浪人。平幹二朗がしゅっとしたクールガイであるのに対し、世間知と秘めた熱さを持ったような人物。娯楽的な要素とドラマチックな色彩のバランスがとれた作品だ。

大好きな藤原釜足さんがまた良い役。あの表情の存在感。無私な空気を漂わせるいぶし銀の彼の存在で、事の発端たる農民直訴に観ているものがすんなり肩入れできる。

松竹映画１００年の１００選にも選ばれている。twitterで書かれている感想で軽い気持ちで手に取ったが、観て本当に良かった。テレビ時代劇の映画化とのこと。最近のテレビドラマ→映画化作品ってお祭りっぽいばかりで作品として感心しないものが多いが、この映画はそういう感じはしなかった。テレビ時代劇の方は観てないので、とりあえず映画版を観ての感想だが。

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