二十一歳の父、不毛地帯

「殿さま弥次喜多 捕物道中」*1で、コミカルな山形勲氏の姿に打たれて以来、山形勲氏を追っかけまわしている。twitterでも評判の良かった「二十一歳の父」そして、「不毛地帯」。

 

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 「二十一歳の父」、曽野綾子原作で、テレビドラマにもなっていたが、「避けたい事柄」みたいな認識を持って今まで来てしまっていた。しかも、近年曽野綾子氏の言動で首をかしげることも多々起きたり、ますます遠ざかりそうだったけれども、山形勲氏の父親が良いときいてみてみたら・・素晴らしかった!

優生思想的な考えを持っているようなエリート長男とそれに反発して二十一歳の父になった次男、両方に対して親としての愛情を感じさせるバランスのとれた父を好演する山形さん。

子ども同士も同級生の友人宮口精二とのやりとりも嬉しい。宮口精二の息子役が勝呂誉。なんかニヒリスティックで二十一歳の父となった山本圭と対比的に描かれている。

すかした感じで勝呂誉が接近するお相手の馬渕晴子さんの美しいこと。成島東一郎のカメラも美しく馬渕さんを表現している。(バーで煙草をふかすところの背景とのコンビネーションの美しさ。教室での脚線美も目を引く。)

山形氏が京都出張するシーンで映る都ホテル、窓からみえる平安神宮京都会館なども嬉しい。

近年まで上品なおばあさん役などをされていた風見章子さんの母親役も心に残るものだったし、二十一歳の父のお相手盲目のマッサージ師を演じた倍賞千恵子さんも生き方への矜持が感じられ良かった。

 

不毛地帯[東宝DVD名作セレクション]

不毛地帯[東宝DVD名作セレクション]

  • 発売日: 2015/02/18
  • メディア: DVD
 

 「不毛地帯」は商社とアメリカの航空機会社、自衛隊を絡めた汚職事件的な物語。満州で軍の参謀だった仲代達也扮する壱岐という男が主人公で、wikpediaをみていると、それなりのモデルのような人はいるみたいだが、ずばりではないようだ。(ロッキードグラマンみたいな名前が出てくるが実際の事件とは関係ないよう)

昔、NHK土曜ドラマとしてよく放映されていた男の仕事を扱ったようなドラマのタッチで出演者も豪華なんだけど、総花的な気配もありNHKのドラマの方が話としては濃いかな・・登場人物も多く、原作に描きこまれてるだけのことが描ききれていないのかも。wikipedia情報だけど山崎さんはこの映画作品に満足されてなかったとか。。そういえばちょっともめていた記憶がある。(むしろいらんことを映画で書き加えたのが不満だったようだが。。)

シベリアで苦労して帰ってきて、軍とはかかわりを持たないでおこうと考えていた壱岐だが、山形氏が社長の近畿商事に入社し、運命的に軍用機輸入とかかわっていく。。それを心配し批判する娘が秋吉久美子。政治は国民の方を向いていないと60年安保闘争の映像が流れる。このあたり社会派山本薩夫監督らしく感じる。

山形氏の社長姿は素晴らしい。酸いも甘いも情も噛分けた人物を堂々と。

みたのは二本組VHSで。