vhsにて鑑賞
母の出産のた母の田舎の友人のところに預けられた9歳の少年のある夏の物語。
そこは、生老病死が身近な当たり前のものとしてある社会。管理されてないゆえのリスクもあるが、本来人が生き生きと生きていくってそういうことなのではないかという気持ちにもなる。
現在自分の前に立ちはだかる疫病。予防は大事だし気を使っているつもりだけど、安全第一が行き過ぎて人から自由を奪い過ぎたりそれがエスカレートしたりして煎じ詰めるとただ呼吸している期間を長く伸ばせばいいのかというところまできかねない。くそまじめゆえ、年寄りかかえてどう生きていくかそれだけで鬱々としかねない時間を送ってきたのだけど、少しは大胆になれ、人生を減点主義で考えるのではないぞ、ということを少年が預けられた隣家の10歳の女の子や、預け先の逞しき大工、墓掘りの年寄りなど通して語りかけてくれる映画だった。田舎の村でもイデオロギーの全然違う人が混在して生きていて、相手は相手、自分は自分という感じで生きているのに肝心のときにはそれぞれの力を貸し合ったりして、なんだかこういうのいいな、万全でなくてもこれでいいんだよという気持ちになれた。
そして前述した隣家の女の子、色々知ってるんだけど究極は変な方向に走らない生命力の持ち主。すごく魅力的。「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」のたのもしい中性的女子に耳年増的俗のエッセンスもふりかけたような現世的な可愛さ。「転校生」における小林聡美のような大胆さがまだまだイノセントな感じで魅力的。
手で仕事をしていくことの自然さ、それぞれのつらさ、いろいろなものを内包しながら、これぞ人生という感じでみていて気持ちの充たされる作品だった。
ビデオジャケットは懐かしきペーター佐藤さんの絵。