南極料理人 ジヌよさらば

アマゾンプライムビデオで二つ邦画を。

南極料理人

南極料理人

南極料理人

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

「ジヌよさらば」

 

ジヌよさらば ~かむろば村へ~

ジヌよさらば ~かむろば村へ~

  • 発売日: 2015/10/07
  • メディア: Prime Video
 

 

南極料理人」は好きな作品の多い*1沖田修一監督。とにかく料理人の料理が食材、条件的にもあんなに限定された環境の中でとても美味しそう。いかにも頭を使って作っている感じが堺雅人にぴったりでそこはとてもおもしろかった。かーっと怒ったりしないけど冷静にいうことはいう、仕事を大切にという雰囲気が心地よい。男ばかりの極限の合宿生活、南極でのお仕事の一端を楽しく知ることができるのは良かった。

しかし、男子が集団でいるときの愛すべき馬鹿騒ぎのノリについていけない自分は何度か置いてけぼりに。

出ている俳優陣は好きな人ばかり。「滝を見に行く」「恋人たち」*2で気になりはじめている黒田大輔氏も出演。悪目立ちしなく場にフィットする持ち味を嬉しく拝見。

良い感じの映画ではあるけれど、ここで観客がウケるように作られてるんだろうなと思いながら、みている自分は画面の前でぽつんとしてしまう瞬間があった。沖田監督は「南極料理人」が商業映画デビュー作のよう。このあとに作られたものを先にみてるので、期待しすぎたところもあったのかも。また2009年の映画ということでその年代その年代のおもしろさの間合いというのもあるのかも。

 

そのあとすぐみた松尾スズキ監督の「ジヌよさらば」は、ものすごく楽しめた。銀行で融資の仕事をしていて貸し剥がしなどからお金アレルギーになってしまった松田龍平がお金を使わず時給自足でやっていこうと東北の村に移住。。←こんな書き方だと「よいはなし」がはじまりそうだが、松尾スズキらしく都会の人間が考える田舎暮らしへの認識の甘さがはじめにたたみかけるように出てきてまずひきつけられる。滑稽で無力な松田龍平。田舎だから善良、にこにことかいう単純な感じでなく、田舎のリアリズムで話が進み、でも生きるってなんだろうってところにちゃんと行き着く面白さ。楽しかった。大人計画皆川猿時、村杉蝉之助が昭和のドロドロ政治ドラマみたいな空気で楽しい。皆川猿時、しつこい嫌がられ役や軽んじられ役が多いように思うが、今回の、小規模な大物感(って!)漂うような役なかなか良かったと思う。西田敏行があくまでも松尾スズキ的世界の中での神のような長老役だが、これがまた良かった。「ここではほとんどのことはなんとかなる。自分の思い通りではなくても」という意味の言葉をいうが、ちょっとカトリック校の宗教の時間にきいた話とも重なっていて。で、深淵一方通行でなく、妙にこの世の人という感じの間合いがすごく面白い。西田敏行の持ち味がぴったり生かされている。

おもしろさとリアリティのある中で夢も与えるようないかにも松尾スズキらしいよいよき作品。すごく堪能した。