破れ太鼓

 

木下惠介生誕100年 「破れ太鼓」 [DVD]

木下惠介生誕100年 「破れ太鼓」 [DVD]

  • 発売日: 2012/08/29
  • メディア: DVD
 

バンツマさん演じる仕事人間の父親が、家庭で煙たがられ。。という話。バンツマさんのスーツ姿ってあまり観たことない気がする。ラスト近く帽子を被って決めているところかっこよかった。木下惠介監督の特徴として時々耳にする、時代の空気を取り込みすぎて後世みるとそれがちょっとキツくなってしまう、という面もなきにしもあらず。冒頭子ども(といっても皆成人)たちがリラックスして歌ったり芝居の稽古をしたり、からの、バンツマさん登場なんだけど子どものはしゃぎ方、親父さんを「破れ太鼓」に譬えての歌(テーマソング)などが少し今観ると隔世の感。バンツマさんが登場し場面がぱっと締まりほっとする。年代的にも多分50代の親父さんと自分が近いもので、少々乱暴なところがあれど生活者バンツマさんの肩をもってみてしまう。斜に構えたところのある音楽家(といっても心は優しいところがあると思う)に「お父さんだって子どもたちのことちょっとくらいは好きなところあるでしょう」みたいな意味のことをいわれた時の「ちよっとどころか一番好きに決まってるだろう」という怒りながらいうセリフ、ぐっときながら観た。時代錯誤な部分はあってもこの人はそういう人物だと思うから。でも割合この型の人って昭和の父親には多く、悲劇が起きたりしているのも確かだ。

バンツマさんというと「無法松の一生*1で車夫の無法松が軍人未亡人の奥様への思いを秘めながら、その息子の父親がわりとして奮闘する姿、また男らしく太鼓を叩いていた姿などが頭に浮かび、そこからの「破れ」太鼓?などとも思ってしまった。ちょうどアステアが「バンド・ワゴン」*2で落ちぶれたダンサーを演じたようなセルフパロディーかな?と。