この作品は随分以前にNHKBSで山田洋次監督が選ぶ映画100本の家族編として放映されていた。ちらりと見た時は、セット中心の映像に驚き、テーマがテーマだけにそれからみるのが先送りになっていたのだけど、浄瑠璃*1が使われているときいて*2ちゃんとみてみることにした。改めてみてみるとちらっとみた時には違和感を感じたいかにものセットっぽいつくりと浄瑠璃の声、そして三味線の力強い音色はこのなかなかしんどいストーリーを民話的にし、絵本を読んでいるかのような気持ちにさせ、観客が入りやすくなっているなと気がついた。
この映画を観る気になったのは、柳美里氏の関わられている著書「春の消息」*3で取り上げられている東北の姥捨て伝説に、そこに死ににいくというよりは、緩やかな別の余生というニュアンスも少し感じたことも大きい。「楢山節考」のほうでは、その辺甘いものではなかったけれど、信仰というものの力があればこその話なのだなあと痛感した。