猶山節考

 

楢山節考 [DVD]

楢山節考 [DVD]

 

この作品は随分以前にNHKBSで山田洋次監督が選ぶ映画100本の家族編として放映されていた。ちらりと見た時は、セット中心の映像に驚き、テーマがテーマだけにそれからみるのが先送りになっていたのだけど、浄瑠璃*1が使われているときいて*2ちゃんとみてみることにした。改めてみてみるとちらっとみた時には違和感を感じたいかにものセットっぽいつくりと浄瑠璃の声、そして三味線の力強い音色はこのなかなかしんどいストーリーを民話的にし、絵本を読んでいるかのような気持ちにさせ、観客が入りやすくなっているなと気がついた。

この映画を観る気になったのは、柳美里氏の関わられている著書「春の消息」*3で取り上げられている東北の姥捨て伝説に、そこに死ににいくというよりは、緩やかな別の余生というニュアンスも少し感じたことも大きい。「楢山節考」のほうでは、その辺甘いものではなかったけれど、信仰というものの力があればこその話なのだなあと痛感した。

主人公田中絹代の家族との対比的に出てくる隣家の老人宮口精二と息子伊藤雄之助が目をひいた。

*1:タイトルには浄瑠璃 太夫 三味線 として、作曲 野澤松之輔 そのあとに竹本南部太夫、野澤松之輔、野澤錦糸、竹澤団六(文楽座)と名前が並んでいる

*2:その知識を得させてもらたのは、以下にリンクを貼らせてもらうブログ。見終わった後拝見するとさらに深く鑑賞でき、頷くことが多かった。こちらの指摘にあるように人形振り的な動き私も感じたし、また対談から引用されている木下監督がこの作品に感じた血のイメージは、主人公おりんの歯のエピソードのところにも出ているなあと感じる。映画の文楽3 木下惠介監督『楢山節考』の義太夫 ― 木下惠介の浄瑠璃世界 - TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

*3:春の消息、魂の秘境から - 日常整理日誌