さよならテレビ

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京都シネマにて監督とプロデューサーの舞台挨拶付上映。

退屈しないつくり。一番気になったのは失敗ばかりを映される契約社員の新人記者渡邊氏。すごい切り取り。多分渡邊氏だって人当たりのあたたかさで取材対象の心を開かせたりということだってあったと思うが、テレビの余裕のなさ、彼に対する処遇を印象づけるために、彼のプラスの面は表現されない。もちろんそれではブレてしまうのだけど、人にみせるための表現というのは容赦ないものだなあと、切るところが切れなく、やんわり表現するあまり何も伝わらいのが常の私にはとても印象に残った。

そういう意味でも色々考えすぎてありきたりから脱しきれなくなってしまうキャスター福島氏の悩みは身近に感じられた。

圡方宏史監督、「ヤクザと憲法*1でもマイルドというかほんと無害あるいは非力な雰囲気で取材対象に近づいていたが、この映画に登場する社会派のベテラン記者澤村が共謀罪の問題について監督に問うた時の「正直よくわからないです」という言葉に、この監督の本領、動物の権力闘争の時に、無害ですよとおなかをみせたりして相手に接近できるタイプの生き物を思い出したりもした。。

テレビの数字至上主義はよく耳にするがこういうものなのだろうなあと肌で感じられた。切り取ったものであるし、うのみにしてあれこれいうのは危険だろうが放送業界で働く知人の苦労の一端は感じ取れた。

満席の会場、みたあとの交流会で活発な質問がでたのは本当に面白かった。特にインターンシップなどに参加していて放送局のよいところばかり見せられていたのに、そこでは決して語られないようなダークな部分が描かれ、さらにはそれを当たり前のこととして平然とみている周りの大人の反応をみて戦慄している自分という話をしてくれた大学三年生。あんな風に自分の思いをわかりやすく表現できる彼がつくるものが楽しみである。

 

☆これをみた直後、大好きだったテレビ局舞台のコミック「チャンネルはそのまま」*2がドラマになって日本放送連盟賞テレビ部門グランプリを受賞、朝日放送系列で放映したのでみてみたら、はじめは、「さよならテレビ」との明暗に、両者を同じテレビを扱ったかけ離れた作品のように感じてしまったのだけど、だんだんに、結構、話重なっているかも~という気分になってきた。(タッチはだいぶ違うのだけど・・)

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