津軽のカマリ

 

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高橋竹山氏、「竹山ひとり旅」*1で知り、また青森の酸ヶ湯温泉などでも紹介をみたりしていたが、女性の二代目に代替わりされていたことはこの映画で知った。

この映画は、初代の元気なころの映像とお弟子さんの回想、二代目竹山へ竹山の名前を譲る、引退間際最後の温泉での公演の初代の姿が収められているが、最後力が衰えてきて良い竹山とダメな竹山の姿を両方映してもらったらいいという初代の言葉に自然と一体化した頼もしい言葉を口にできる人なんだなあと感銘を受けた。

確かに最後の舞台の演奏には往時の力強さはないけれど、そのあと、二代目竹山の、ようやっとの青森での公演の演奏(青森では当初すんなり二代目を認められる人が少なかったという)をきいて、一粒の麦が死んで次の芽が吹いている、植物の代替わりに似たものを感じた。

少し話はそれるけれど、お正月に山田太一氏に八千草薫氏の訃報に際し連絡が取れなかった件がyahooニュースに載っていた。記事をしっかり読めば少し前のラジオ深夜便にも出ておられたことが載っているのだけど、そこでちゃんと話されているのをきいた身とすれば、この記事のヘッドラインの、心配するふりをした興味本位みたいな感じがよい気分ではなかった。ラジオ深夜便のインタビューの中で、山田氏は今の最大の関心事は死であり、何か書くとしたらそのことしかないようなことをおっしゃっていた。人間がみんな避けて通れない死の問題、yahooニュースの口調みたいに特別の悲劇みたいにして結局は対岸の火事みたいに消費するのでなく、山田氏に問いかけられて自分なりにいろいろ考えたりしてみたい。内心はわからないにしても、初代竹山さんのように、アンチエイジング的にあわてるのではなく、かっこよく受け入れたい。

津軽のカマリ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: マクザム
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: DVD