恋人たち

 

 

恋人たち

恋人たち

  • 発売日: 2016/09/07
  • メディア: Prime Video
 

 もやもやしている今みて良かった。こんな気持ちで暮らしているひとがいて、と、どんどん肉薄して、でもこんなことがあるよと安直じゃない展開をみせてくれる。橋口作品、「ハッシュ!」も「ぐるりのこと。」*1も表現が好きだったけどもっと観たいと思った。

根幹になるのは、篠原篤という役者さんの演じた妻を殺人で亡くした篠塚アツシという人物、成嶋瞳子という女優さんが演じる、お弁当会社のパートで働く、雅子様大好きで、心は少女、現実は所帯まみれの主婦、高橋瞳子(二人ともちょっとずつ芸名と役名がかぶっているところにもアテ書きぽさが。。)、光石研演じる鶏肉業者、安藤玉枝演じる光石研の愛人でバーのマダム、ゲイの弁護士池田良。橋口監督、「ハッシュ!」にもゲイの人々が出てきていたけれど、この映画でのゲイの人を美化しない、でも傷みはちゃんと描いているところが気に入った。さらに、篠塚アツシの職場の上司、黒田大輔を演じる黒田大輔氏。

 
2つのハート

んな凄い達者!好きな役者山中崇が、健康保険の窓口の男だったけれど、なかなか嫌味な役で。こんな感じイヤだなあみたいなのも橋口監督ってうまく表現しているなあと思う。 黒田大輔氏、「滝を見に行く」*2では頼りない添乗員を演じていたが、今回はまた大きく違う役。多くを語らないのにほわーっと人の助けになる人。彼には彼の歴史があっての今だ。

黒田さんの過去と雅子様大好き主婦成嶋さん(おうちの襖が菊の模様!)の対比もさりげなく、イデオロギーとかを超えてる感じだし、妻を失って絶望している篠原さんの心のギリギリのバランスをつなぎとめるものなども、意外なセンだったりしてそんな表現が良かった。シリアスなのに笑えることもあったり・・それがほんとだよな。

またこれらの登場人物をうまくつなげてあるのがおもしろい。うまい脚本。

 
驚いた顔