私をくいとめて

 

私をくいとめて

私をくいとめて

  • 発売日: 2021/03/25
  • メディア: Prime Video
 

ちょっと極端な表現を使うところなど 「勝手にふるえてろ*1とテイストが似ているなと思ったら原作(綿矢りさ氏)も監督も(大九明子氏)同じだった。

途中に好きだったテレビドラマ「捨ててよ、安達さん。」に出てくる女の子(川上凛子氏)が登場し、調べていたら、あちらもメインの監督は大九氏だったようだ。そういえば、似ている空気がある。そして、「捨ててよ、~」の方が終始表現がマイルドで見やすかったようにも思う。映画の中で川上凛子氏の登場場面は一瞬だが、なかなか落ち着いて媚びた感じがない子役さん。私は好き。 

捨ててよ、安達さん。 DVD-BOX

捨ててよ、安達さん。 DVD-BOX

  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: DVD
 

 考えすぎて行動に抑制がかかってしまう感じの主人公。それを支える脳内の声。そこはすごくわかる。スタートはガツンといくためかやや極端なんだけど、ゆっくりつきあうにつれ、言ってること、心持ちはよくわかるようになる。

主演ののん氏、私にとっては朝ドラ「あまちゃん」を演じた若手という感じだったので、「崖っぷちおひとりさま?」という気もしたが、声の迫力に驚かされたり、かわいいだけの人ではもちろんなかった。「あまちゃん」での盟友(橋本愛氏)の登場の仕方はとてもスピンオフ的な空気もあり嬉しかった。そういえば、「勝手にふるえてろ」の方も「あまちゃん」での哀切のあるリーダーっぷりが印象に残る松岡茉優氏が主人公で今あの世代の活躍をみているのだな。

相手役の林遣都氏。こちらがまたすばらしい演技者だ。朝ドラ「スカーレット」でも、尊大なようなかわいいような役柄を上手に演じておられたが今回は今回でとてもナチュラルで魅力的だった。

そして、自分にとっては同世代の星片桐はいり氏の、年嵩の仕事のできる女役。どうかすると変わった役をふられがちのはいり氏なので、とても新鮮だったし、私はこういう役の方が好きだ。

また主人公の職場での心の支え役を演じた臼田あさ美氏、彼女も魅力的。NHKサラリーマンNEOのスタッフによる「祝女」というショートコメディで何にでも染まりうるニュートラルな空気を漂わせていた方だ。役の上での彼女のあり方、賢い生き方なのかどうなのか、そんな小賢しい批判を超えとても愛らしく惹かれる。彼女が演じているからなおという気がする。臼田さんもはいりさんも「~安達さん。」にご出演。大九監督ファミリーといっていいのかな・・

 

祝女~ SHUKUJO ~ DVD-BOX

祝女~ SHUKUJO ~ DVD-BOX

  • 発売日: 2010/06/23
  • メディア: DVD
 

 

ポスターにも印刷されているような「わかりみ」という言葉などはほんとに今だけという気がして、使うのをためらうし、そういう、今しかない表現にもかなり頼った映画で、永遠の名作とかいうのとは種類の違うものとは思うけれど、今の感じをタイムカプセルに封じ込めた表現の作品ともいえるのだろうな。