- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2014/07/11
- メディア: DVD
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ヒルダの造形が非常に難しく、何人ものクリエーターが案を出したという話が印象的だったから。その中には宮崎駿もいました。が、高畑さんが採用したのは森デザインのヒルダ。展示で複数のヒルダ案を見ましたが、どこか陰のある含みを持たせた少女を一番体現していました。宮崎駿はそのヒルダを見て驚愕した、とイアホンガイドの説明もありました。
とのことを、このブログのコメント欄に残していただいて、早速この作品を拝見した。森さんの作品は「わんぱく王子の大蛇退治」*1の造形でひきつけられ、「こねこのらくがき もりやすじの世界」*2というかわいらしい作品集でなじんでおり、「こねこのらくがき」などとてもかわいらしい印象なので陰のあるキャラクターというのも興味があった。
ヒルダ、引き裂かれた自己の哀しみをまとう本当に重要なキャラクターで、ヒルダの登場でぐんとこの作品の緊張も高まる。この作画によってずいぶん映画全体の印象がかわってきたと思う。
自己分裂的葛藤は、ヒルダだけでなく、物語全体を覆っている。信じたい心と疑う心。登場するキャラクターのそんな複雑さが物語をとてもおもしろくしており、多くの人に愛されてきたのがわかる作品だった。観るきっかけを作ってもらって本当に感謝。
途中、セル画の枚数を節約して静止画で表現しているところがある。(「止め絵」というらしい。)wikipedeiaによると、凝りすぎて製作が遅れ、予算調整の会社との折衝の中で約束させられたことのようだ。この作品は68年公開だが、「止め絵」の技法、60年代後半のテレビアニメで、乱闘シーンなどでよくみかけたような気がする。
ヒーローが一人で戦うのでなく、全員で戦う理念、キャッチコピーにも謳われているかわいい動物の登場・・とても心憎くすばらしい。
ヒルダの服装などからアイヌのおはなしかなと思ったら、前掲wikipediaによるとやはり、アイヌの伝承をもとにしたた深沢一夫の戯曲(人形劇)『チキサニの太陽』を基とした作品であるという。
ということも載っている。そうだったのか・・