1957年今井正監督作品。第31回キネマ旬報ベスト・テン第一位作品。霞ヶ浦水郷地帯で夏・秋の二度にわたり大ロケーションを行ったそう。
「姉妹」*1をみて、中原ひとみさんの出ている作品をもっと見たくなったのがきっかけ。中原さんの出番はあまり多くない。江原真二郎の妹役。江原真二郎は農家の次男坊で次男坊というとあまり独立のために田畑をわけてもらったりもなく、先の見込みもないので、家を出ていき、はえ縄漁の権利を得てワカサギ漁をすることになる。江原氏の母が私の好きな原泉。なかなか厳しい母親役であった。
霞ヶ浦という場所は半農半漁という感じで、江原たちとは対岸に住む望月優子も稲作をしつつ漁をしたりしている。漁に関する取り決め、時々断片的にきくことがあるが、この漁をしてもいいが、これはダメとか届け出によって厳しく管理されているらしい。そしてそのことがこの物語の重要なポイントとなる。望月優子氏は、「荷車の歌」*2という映画で運搬業でがむしゃらに働いている姿が印象に残っているのだけど、この映画でも本当生活のために昼夜兼行状態である。できたのはこちらが先だから、この姿が「荷車の歌」につながったのかもしれない。望月優子の夫役は加藤嘉。家族でわらをなってみたり、網をこしらえてみたり、そういう手仕事がとても胴にいっている。望月優子の娘役の中村雅子という人は、望月優子の実の妹らしい。そして、加藤嘉と(どうもこの作品がご縁で)同棲のちに結婚するようだ。*3
ウナギ漁のシーンもあり、今村監督の「うなぎ」も思い出したが、あちらは佐原市で撮っているらしい。
木村功氏が結構ギラっとしたリーダーのような役。なぜか私の木村功氏のファーストインプレッションが清廉な雰囲気なもので、こういう役とか「杏っ子」のように冷たい役とかされていると、いつもと違う珍しい役のように勝手に感じてしまう。
少し映る土浦の街角の様子、駅やデパートなど。貴重な映像だと思う。