八月南座超歌舞伎

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93歳の伝統芸能好きの父が生協でこの超歌舞伎のチケットを売っているのをみて誘ってきた。初音ミクが何であるかも知らずに。中村獅童初音ミクのコラボ歌舞伎。うっすらと知っているのかと思いきや、初音ミクが登場するなり、「映像か・・」とつぶやいているのを耳にして、それも知らずに観に来たのか・・と逆に感動。

でも今日の南座のお客さんは父みたいなレベルの方多かったように思う。今まで幕張メッセなどで、初音ミクのファンの方々が歌舞伎に近づくという色彩からはじまったであろうこの超歌舞伎、南座ではまた違った苦労をされたのではないだろうか。獅童さんや敵役の澤村国矢さんの奮闘に胸が熱くなった。

この公演ではペンライトの応援、声かけ自由、最後にはポーズをとっての撮影のサービスまであった。ペンライトは幕張メッセでは大半のお客さんが持っているくらいの勢いらしいけれど、南座ではパラパラ。獅童氏も「あっ、京都のお客さんは・・」と、しまつすごいな、というようなニュアンスで。再三懐中電灯がわりにいかがとうながされるも、ペンライト購入者が少ない故、獅童氏よりケータイの音消してバックライトで応援してくれていいとの発言。バックライトの設定に困っておられるお隣の方にお教えしていきなりの一体感。

イヤホンガイドは普段の高木秀樹氏のオーソドックスな部分に加えてニコニコ動画で有名というネットタレントの百花繚乱さんの実況があり、声かけタイミングを教えてくれるので、何度かがんばって「よろずや」「紀伊国屋」と声をかけてみた。普段は声をかけたりしない人たちの声があわさってたどたどしくもほほえましい。だけど、ベテランの大向うの方の声がかかるとやはりいいなあと思う。

パンフレットにも澤村国矢さんの言葉として初音ミクとの台詞のやり取りが一番難しかったとあったけれど、本当にそうだと思う。初音ミクの台詞は、歌舞伎調じゃなく、私も普段の彼女を知らないけれど、きっと初音ミクらしさから逸脱していないものだったと思うから。

獅童氏や国矢氏のパフォーマンスは堂々としていて満足のいく見ごたえだった。また、ニコ動的な書き込みのラッシュみたいな演出も私には面白かった。でも、本当普段とは違った努力が必要だったことは確かで新しいことにチャレンジする姿勢に胸が熱くなった。