脇役本

 

脇役本 増補文庫版 (ちくま文庫)

脇役本 増補文庫版 (ちくま文庫)

 

 脇役俳優の出版した本から脇役俳優の経歴や趣味などを探るのが脇役本のたのしみ方だけど、この本は単なる著作の紹介ではなく、当該の脇役俳優がどういう人とどういう仕事をしたかが綿密に調べられていて、そこがとても面白く、旧い邦画を好んでみているものには何度も参照したい本。この本が縁で加東大介さんの主演映画「南の島に雪が降る」にも出会えた。

参考にしたい事柄はたくさんあれど、とりあえずひとつだけ。大好きな加藤嘉さんの顏を撮った絵本「ぼくのおじいちゃんのかお」

 

ぼくのおじいちゃんのかお (幼児絵本シリーズ)

ぼくのおじいちゃんのかお (幼児絵本シリーズ)

 

 の撮影をされている沼田早苗さんは、若いころから年配の男性の肖像写真をライフワークにされていて、小沢栄太郎志村喬嵐寛寿郎といった老優たちの「かお」も作品になっているそう。志村喬さんの脇役本「記録 志村喬」には、「俳優志村喬」という沼田さんのエッセイも収録されているとのこと。とても興味があるなあ。

 

あと八代目市川圓蔵というひとのことが気になった。地味で暗いとの評判で芸の方は人気がなかったけれど、死にざまが・・という話だったのだが、90代の父にたずねると、芸の方、そんな悪い印象がない、立派な役者さんだったと思うとのことでなにか救いを感じた。