「ラストナイト・イン・ソーホー」、「ベイビー・ブローカー」

近年の映画を二本。

「ラストナイト・イン・ソーホー」

60年代スウィンギング・ロンドンの頃のファッションが出てくるということで観てみたが、現代とあの時代を交錯させる感じは楽しめるし、田舎から出て来た女の子にとっての都会という表現はうまいと思うのだけど、終盤ただ派手に盛り上げているだけのシーンはもういい、となってしまった。

※あとで、他の方の感想をみていると、下宿の女主人など60年代に活躍した方々が出ているそう。テレンス・スタンプはきいていたので気にしながら観たが、バックグラウンドわかると味わいは深まりそう。

 

「ベイビー・ブローカー」

「ラストナイト・イン〜」に「ふーん・・・」となってしまい、自分の鑑賞力のせいかと不安になったが、こちらはすぐ乗れて堪能。

赤ちゃんポスト」に置かれた赤ちゃんを売ってお金を得る裏稼業をしているクリーニング屋ソン・ガンホ。古い邦画でも、育てられない赤ちゃんをもらってきてそれが商売になるというエピソードを観たことがあったが、何だったか。。そちらでは、そんなことをしている連中は薄汚い悪人でしかなかったが、この作品ではそれぞれの人生の傷が接着剤になり、母親、ブローカー仲間、そこに仲間が育った施設の子どもまでひょんなことから同行し是枝監督らしい疑似家族の形成。愛すべき感じで進行。子どもが付いてくるくだりは、園の様子が丁寧に描かれているのでとてもナチュラル。この子どもが作品の良さを増している。是枝監督はほんと子どもの活かし方がうまい。

韓国の言葉で相手を厳しく突いたり怒ったりする場面にリズムもあいまって惹かれてしまう。ユーモアやあたたかみが底調としてある上での情動の発露に魅力があるのかな。

母親が赤ちゃんをポストに置く事情の背後の、赤ちゃんの父親がらみの流れがちょっとすっきりしないがあの話が物語を動かす原動力にはなっているし、各々のその時を必死で生きる姿は魅力的。なんといっても赤ちゃん思いだし。2歳児と0歳児が長期帰省で逗留し、ひたすら寝てくれる時間を心待ちにしている自分には、はっとさせられもする。

ほえる犬は噛まない*1や「リンダ・リンダ・リンダ」*2の若く迷える主人公で馴染んできたペ・ドゥナが、仕事でからからになりつつもそこに執念を燃やし生き惑ってる感の警官役で登場。感慨深かった。

韓国の俳優たちによって演じられてこその魅力がある作品と思ったが韓国の作家が作ったらもう一捻りあってスコーンとやられたという気になりそうな気配も。

全体的にはとても楽しめた。