赤い風車

 

ジョン・ヒューストン監督 ロートレックの伝記映画。ロートレックのポスターが昔から好きなんだが、人物的には知らなく、この作品ではなんだかいい人ぽく描きすぎなのでは?なんて思いながら観ていたものの、ロートレックの伝記小説「ムーラン・ルージュ」が原作で、家にあった過去のロートレック展の図録の解説(ただし1969年開催)を読むと別に誇張して良い人に描いているものでもなさそうだ。

足の骨折の後両親のいとこ婚の影響で背が伸びなくなり短躯で生涯を送る境遇について恨んだり呪ったりというのでなく、基本あきらめと悟りをもって、周りの人には快活に思いやりをもって接する、皮肉交じりの人生観を持ちながら、というところは図録に掲載の美術評論家フィリップ・ユイスマン編の「ロートレックの伝記」と一致している。

晩年のアル中は観るものがいやにならない程度には描かれていた。こちらは家族もやむなしと判断して精神病院への入院があったと図録には書かれ実際はもっと大変だったかも。明るく振る舞っていたとしてもアルコールに走らざるを得ない内なる苦しみはあったのだろうな。

とにかく今まで親しんできた彼の絵がこんな感じで生まれてきたのではと血肉を与えられ描かれ楽しめた。細かく事実に則するというよりはエピソードは大きな流れだけあわせ創作して描かれているように思われる。